THE BROBUSのMCとして知られるDWEETが10年以上のブランクを経てカムバックした話題作!
西原健一郎とのコラボレーションで完成した新作「夜を待って/RE:Vibe」は
近年の大きなトレンドとなっているLo-Fi Hip Hopとの親和性も高いソウルフルな作品!
マスタリングはWax Alchemy諏訪内保が担当。
まだ今よりもHip Hopに様々な価値観も存在せず、ヘッズもプレイヤーも皆が一つの価値観に縛られていたあの頃、理想と現実の乖離に、そして、それぞれの日々の生活の為に、数え切れない程のMCやDJがHip Hopというカルチャーから離れていった。このDWEETというMCも一度は音楽から身を引いた一人だ。かつてはメジャーからもアルバムをリリースしたグループ、THE BROBUSの一員として活動して来たがグループは活動休止。10年以上のブランクを経て、ソロとしては初となる音源をリリースすることになった。
Hip Hopというカルチャーの裾野が広がったことによって、ラッパーの在り方も様々なスタイルが許容される時代になり、気を張らなくても、自分のペースとスタイルで音楽と向き合うことが可能になったこともあり、ある種の初期衝動の様なものを取り戻したラッパーの姿が、この2曲入りの12inchのアナログレコードにしっかりと刻まれているのだ。DWEETが好むメローでソウルフルな音の世界を築き上げるのは、ラップから離れていた時期に知り合ったという、音楽プロデューサーの西原健一郎。数年前からインターネット上でも大きなトレンドの一つとなっているLo-fi Hip Hopとの親和性も高い、ジャジーな音色とローファイなビート。そこに乗るDWEETのラップには、ラップから離れていたときの思い、そして、現在の音楽と共にある生活から生まれる思いが溢れている。
表題曲である「夜を待って」では、昼間は一般的なサラリーマンとして生活を営む人が、1日の仕事が終わり晴れて自由の身となり、自宅でリラックスしながら音楽を楽しむ姿がディテール豊かに描かれている。普通の人のささやかかもしれないが、決して誰にも邪魔されることがない幸せな瞬間を切り取るこの楽曲は、いわゆるHip Hopにおけるナイトライフ的なトピックではないかもしれない。けれど、その人のライフスタイルを表現するという点において、確かにHip Hop的な題目であり、同時に強い普遍性を備えた1曲だ。B面の「RE︓Vibe」では、かつてのキャリアを志し半ばで断念することになったDWEETが、もう一度情熱を取り戻すまでの内面を丁寧に描いた1曲。どんなタイミングからでも、人は再スタートすることが出来るというポジティブなメッセージは、何かを諦めたことのある人なら誰しも胸を打たれるだろう。
そして、今回の音源はWax Alchemy諏訪内 保がマスタリングした、45回転の12inchレコードで発売される。DWEET自身が過去に触れ、愛着を持っているアナログの質感と、音質の良さにこだわった媒体であり、このリリースのやり方自体がDWEETのスタンスの表明にほかならない。この12inchは勿論だが、彼が日々の暮らしを過ごす中で、この先どのようなトピックについて歌うことになるのか、それは日本におけるHip Hopの持つ多様性の一つの在り方として重要な一曲になるのではないだろうか。
TEXT : Maruro Yamashita
Dweet & 西原健一郎 - 夜を待って/RE:Vibe (12inch)
TRACK LIST :
A1. 夜を待って
A2. 夜を待って(Inst)
A3. 夜を待って(Acappella)
B1. RE:Vibe
B2. RE:Vibe(Inst)
B3. RE:Vibe(Acappella)
「夜を待って」
https://linkco.re/AdC3xr0x
「RE:Vibe」
https://linkco.re/TCpqvuMH
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