GOTH-TRAD "PSIONICS" Interview ①

比類なきサウンドを武器にベースミュージックのプロデューサー/DJとして

世界で活躍するGOTH-TRAD。自身が東京で主催するパーティーBack To Chillが

2016年9月には10周年を迎える記念すべき年に

待望の新作アルバム『PSIONICS』をリリースすることが決定!


Upcoming New Album『PSIONICS』のリリースに先駆けて、Wax Alchemy創業時からのダブプレートユーザー / サウンドデベロッパー でもあるGOTH-TRADに、彼がリアルタイムで経験してきたUK ダブステップやダブプレートカルチャー、現在のダブプレートで貫くDJとしてのGOTH-TRAD、そして今回Wax Alchemy ダブプレートでのAlbum未収録音源のエクスクルーシブ・リリースなど、カッティングエンジニアとしてGOTH-TRADに『PSIONICS』の真相を独占インタビュー。


GOTH-TRAD

[DEEP MEDi MUSIK / Back To Chill]

 

ミキシングを自在に操り、様々なアプローチでダンス・ミュージックを生み出すサウンド・オリジネイター。

 

2001年、秋本"Heavy"武士とともにREBEL FAMILIAを結成。ソロとしては、2003年に 1stアルバム『GOTH-TRAD I』を発表。国内でソロ活動を本格的にスタートし、積極的に海外ツアーも始める。2005年には、自作楽器・エフェクターを駆使した、実験的な2ndアルバム『The Inverted Pes Dance Floor』を発表。

 

『Mad Raver's Dance Floor』に収録されたタイトル「Back To Chill」が、ロンドンのDUBSTEPシーンで話題となり、2007年にUKのSKUD BEATから『Back To Chill EP』を、DEEP MEDi MUSIKから、12”『Cut End/Flags』をリリース。8カ国に及ぶヨーロッパツアーの中では、UK最高峰のパーティーDMZにライブセットで出演し、地元オーディエンスを沸かした。以降、国 内外からリリースを続け、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア等、毎年、世界中でコンスタントにツアーを重ねる。

2012年には待望のアルバム『New Epoch』をUKのDEEP MEDi MUSIKからリリースし、Fuji Rock Festival 2012に出演。2011年~2014年にかけて、数々の欧米ビッグ・フェスにも出演してきた。

 

2015年、再びダブプレートをカットし始め、完全にVinyl OnlyのDJスタイルにシフトする。

アンダーグラウンドシーンで注目を集めるノイズコアバンド”ENDON”のリミックスを手がけ、5月にMerzbowのリミックスと共にスプリット12”がDaymare Recordingsよりリリースされる。

12月には、日本が世界に誇るバンド”Boris”とのコラボレーションイベント”Low End Meeting”を代官山UNITにて開催し、共作”DEADSONG”を披露。 サウンドシステムを導入した、超重低音かつ実験的なアプローチのライブが話題となった。 

 

2006年より始動した自身のパーティーBack To Chillは、2014年11月にREDBULL MUSIC ACADEMY TOKYOとスペシャルイベントを開催し、遂にBACK TO CHILLレーベルを始動。2016年9月には、記念すべき10周年を迎える。

 


Mixed with All Wax Alchemy Dubplate


Wax Alchemy (以降WA) - GOTH-TRAD = Live Showと言うスタイルを確立しているかたわら、DJとしても国内外問わず精力的に活動を行ってますが、Live SetとDJ Setでの音楽的表現や意識の違いはあるのでしょうか?

 

GOTH-TRAD (以降GT) - ライブは自分の曲のみで構成するから、じっくり聞かせるパートもあれば踊らせたいパートも作る、ショーケース的なスタイルだね。DJも基本的には、自分の曲が軸になる様なセットでプレーしてるんだけど、自分の周りにいるアーティストやレーベル、単に新旧問わずに自分が 好きな曲をMIXできる楽しみはあるよね。もちろん人の曲をプレーする事で、セットに変化を付けやすいし、あと自分の曲の機能性が見えやすかったりする。さらに、どういう新しい音を 作ってセットに組み込みたいかも、明確になるんだ。

 

WA - DJセットを始めたきっかけは?

 

GT - 曲作りを始めた頃は、DJをやるつもりはほぼ無かったから、ライブセットで自分の曲 だけをプレーしてた。当時の日本のクラブシーンでは、DJ=人の曲をプレーする・既存の曲をプレーする、というイメージが強かったから、全く興味が無かったんだよ ね。

 

ただ2005年にDubstepのシーンと出会い、初めてMalaのDJバッグを見た時、ほぼ自分のダブプレートと自分のレーベルの vinylだけで埋め尽くされてたんだ。DJだけど、これはほぼライブに近いオリジナルなものだと思ったよ。

 

それで、2006年にBack To Chillを代官山Saloonでスタートしたと同時に、本格的にDJを初めて、

さらにBack To ChillのDJも、オリジナル音源を作っているDJを中心に集めたんだ。

 

WA - BTC創立時の2006年頃は、DJプレイのフォーマットはレコードとCDが混在していた時期だと思いますが、

オリジナル音源をプレーするとなると、必然的にCDでのプレーとなりますよね?

 

GT - みんな自分が作ったオリジナル音源のCDRと既存のレコードを混ぜて、CDJとターンテーブルでプレーしていたよ。自分は、2006年に国内のあるダブプレートスタジオを探して、何枚かカットしてみたんだけど、音質に納得いかなかったから、2007頃から ロンドンに行く度に、Transition mastering studioでダブプレートをカットし始めたんだ。当時ほとんどのダブステッププロデューサーが使っていたからね。

 

WA - 当時のダブステップシーンでのダブプレートカルチャーとの出会いを教えてください。

 

GT - 当時からダブステップのプロデューサー間では、お互いの未発表曲のトレードが頻繁に行われててさ。

自分のオリジナル音源も含め、市場に出回っていないエクスクルーシブな音源をプレーする事で、現場でしか体験出来ないセットを確立する事が出来る。

 

そこで、自分が以前に抱いていた市販音源をプレーするDJと"プロデューサー"としてのDJという差別化ができた。

 

WA - 未発表曲、リミックス音源、リリースされる事の無いエクスクルーシブ楽曲をDJセットに組み込めるのはプロデューサーの特権だったんですね。ダブステップ界でプロデューサー = TOP DJになっているのは必然だったんですね。その音源や情報はどのようにトレードされていたんですか?

 

GT - 音源はデジタル音源でやり取りするんだけど、その未発表音源をいわゆる"ダブ"と呼んで、そのダブをダブプレートにカットしようが、CDRに焼いてプ レー しようが、そのDJ次第。

 

WA - ちなみにGOTHさんはカットしていたダブプレートは、自分の音源が中心だったのですか?

 

GT - 自分は基本的には自分の音源のダブプレートをカットしていたけど、他のプロデューサーの曲もたまにカットしていたね。当時1ポンド200円、アセテート盤の12インチダブプレートが50ポンドで、一枚およそ1万円かかってた。でも日本に住んでいる自分にとっては、めまぐるしくやり取りされる全てのダブ音源のダブプレートをカットして、常にセットをアップグレードし ていくには厳しい環境だったね。さらに、海外ツアーではライブセットとDJセットの両方のオファーがあったから、ライブ機材とレコード一式を持って 行くのは物理的に不可能って事もあって、2008年ごろから完全にCDJにシフトしたんだ。アセテートは、通常のvinylレコードより重いし、劣化 も激しかったしね。

 

WA - 以前はCDJでのプレイが多かっ たんですね。

やはりCDやUSB、データ、コントロールバイナルのデジタル音源でのDJプレイは利便性もあり、今や世界的にも主流ですよね。ただ、現在GOTH-TRADは全てダブプレートでのセットに回帰されています。それは、どのような経緯があったのでしょうか?

   

 

GT - 2007年から、DEEP MEDi MUSIKを中心にUKレーベルから何枚も12インチレコードをリリースしてきて、2012年にはアルバム「New Epoch」を3枚組のLPでリリースしたんだけど、 当時もまだCDだけでプレーしてたんだよね。なんか、そこにすごく矛盾を感じ始めたんだよ。

 

だから、そのアルバムリリース以降、またダブプレート+レコードでのプレーを始めたいと思ってたんだけど、、、ただやっぱり、国内でダブプ レートをカットできる環境が無かった。あとはもう、CDJで数字を見てプレーするのにもうんざりしていたってのもあったね。そこで、2015年2月に知人から、Wax Alchemyを紹介してもらったんだよ。

 

WA - そうでしたね、DLさん(D.L a.k.a. Bobo James)の MIX CDの制作している時に、その担当してたトッティーさんが、GOTHさんと繋がってて紹介してもらったんですよね。たまたまお互い家も近所で、すぐにダブをカットしに来ましたよね。その頃、僕はまだダブカットのサービスを開始して一年くらいで、hiphopやソウル・ファンク等のレアグルーブのリマスターカットが中心だったんですが、クリエーターのオリジナル楽曲をカットする機会は、多くなかったんですよ。

 

GT - そうだよね。自分的には、ダブプレートってダブ・レゲエかUKのジャングル~ダブステップシーンでのオリジナルのダブをカットするっていうイメージしかなかったから、古い音源をリマスターしてダブプレートにカットするっていうのは、逆に新鮮だったね。それも一つのダブプレートの在り方だなって。

 

WA - レアグルーブシーンでのダブプレートの使い方なんですよ。

なので、GOTHさんが持って来たオリジナル楽曲のように、30hz~40hzの超低音が入ったトラックをカットするのは、初体験でしたよ!

  

GT - たしか、俺が初めに保くんに言ったのが「自分でマスター作って焼いたCDRより、音が良くなければダブプレートをカットする意味無い。」って 言ったよね (笑) 結局、俺はレコードは好きだけど、CDJもデジタルDJも否定しないし、Vinyl至上主義でもない。ただ音質が最優先だと思ってるから。で、初めにカットしてもらったのって、DEEP MEDi MUSIKからリリース予定だった、SinkerとSunbeam VIPだったよね。

 

WA - そうです、、、その言葉、僕に取って地獄でしたよ。。。(笑)

当時の自分のスキルでは、音圧も音量も出せなかったし、針は飛ぶは、ヒューズは飛ぶはで。。。大変で。

毎晩血眼でテストカットしまくってましたよ。何枚ブランクレコードをすいやした事か。

 

GT - がはは。100発くらいヒューズ飛ばしたよね 笑

 

WA - いや、もっと飛ばしてますよ(笑)結局、そこからSound面での協力をしてもらいましたね。

カッティングのリファレンスとして過去のDEEP MEDi MUSIKのリリースや、DMZのレコード、Transition Mastering Studioのダブなどをスタジオに持って来てもらって、針を落とした瞬間に、更に愕然するっていう。。。正にUKダブステップの洗礼を受けましたね。UK BASS MUSICのスタンダードカットの音圧・音質を叩き込まれました。

 

GT - 自分もカッティングに関しては、素人だったけど、興味もあったし。二人で色々プラグインとか試したりして、去年の2月から4月くらいまで毎週 のようにスタジオに通ってたよね。

 

WA - 今となっては感謝しきれないセッションでしたが、正直に言いますと地獄でしたよ(笑)。

買ったばかりのカッティングマシンが破壊されるんじゃないかって(笑)

 

 

GT - ダブプレートのカッティングは、実際にカットしてみて、システムで鳴らさないとわからないから。カットし て、その都度現場 でかけてみるって作業の繰り返しだったね。でも本当に有り難い事に、保くんはエンジニアとしてもダブカッターとしてもどん欲だから、一緒にがんばってくれたよね。

 

WA - 僕は、GOTHさんが「俺の曲をフルレンジでカット出来たら、どんな曲でもカットできるよ。」っ て言ったんで、もう毎回毎回がむしゃらでしたよ。25hz~18khzまでフルレンジでレコードに斬るっていう試練でしたから(笑)でも、Lea Lea - Black or White(GOTH-TRAD remix)が、サウンドシステムでCDクオリティの出音で鳴った時はすごく嬉しかった!地獄からの生還です!

 

 

GT - 今やWax Alchemyでダブプレートにカットされた音が、マスタリングされた音って感じだよ。

そういう意味で、以前CDRに焼いてた時より、良い音で鳴らせてると思うんだよね。

 

WA - 先日のアムステルダムのギグも同行しましたけど(写真下)、めちゃくちゃ鳴ってましたよ。

あの強烈なラインナップの中で、ぶっちぎりでシステム鳴ってましたね!

友人のオランダ人もそう言ってましたよ(笑)。

 

そういえば去年、ブリストルでMalaとb2bしたそうですが、どうでした?

 

 

GT - MalaのTransitionのダブプレートに負けてなかったね。MalaもWax Alchemy盤の音に驚いてた。

あと、特に俺が最近カットしてる厚さ1mmのクリアヴァイナルの音質と軽さにも。

あのクリアヴァイナルのダブプレートをカットす るのにも試行錯誤したもんね。

実際Malaも何枚かカットしたんでしょ?

  

WA - そうそう、そのあとすぐに実際Malaから電話があって、『あのGOTH-TRADが使ってるスーパー・ライトウェイト・ダブプレートは一体何なんだ!?軽くて、アセテートじゃなくて、音も良い!』って(笑)。

 

そのあとMalaも何枚かカットしました。

しかもGOTHと同じチューニングで斬ってくれって。Malaのように、何年もDubplateをカットしてきたアーティストにサウンドを評価してもらえたのも、自信になったのと同時に、多くのオーディエンスの前でプレーされるという責任感も感じましたね。

 

GT - しかし、あのクリアヴァイナル(写真右)は画期的だと思うよ。アセテート盤と違って、軽量だし劣化も無い。去年から、海外ではアメリカ・ヨーロッパ・アジアでツアー回ってきたけど、どこでもしっ かり鳴ってる。

 

 

あとレコード針も色々試してきて、今俺はortofonのElektro omを使ってるんだけど、Wax Alchemy特性のリード線との相性がバッチリだよね。全く針飛びもしないし。

 

 

 

(写真右 GOTH-TRAD's All Wax Alchemy Dubplate Set & Ortofone Elektro OM x W.A. Headshell Wires for His DJ Set)

 

WA - あの組み合わせは絶妙でしたね!自分も今では、その組み合わせをカッティングのリファレンスにしてて、他のカスタマーにも推奨してます。

 

ちょっと カッティングの話に戻りますが、GOTHさんは、dubstep以外にもノイズ、ドローン、Doom Metalなどカットしてきましたよね。まさか、そういうジャンルの音をカットするとは思ってなかったんですけど、より広い音楽ジャンルの理解が深まりました。

 

GT - ダブカッターって、誰よりも新しい音をいち早く聴く事ができるのが特権だと思うんだよ。実際、俺が曲を仕上げてプレマスター作って、現場でプレーする前にダブをカットしに行く訳だから、一番最初にそれを聞くのはもちろん保くんだよね。

 

WA - 先日アップされたmixは全てWax Alchemyでカットしてきた盤ですよね。

それに収録されているBorisとGOTHさんとの共作"DEADSONG"とか"ENDON"のREMIXとかも新境地でしたね。

 

 

 

WA - Endon - Just Like Everybody (Link上) こんな曲聴いたこと無かったですから。かなり衝撃というか、こんなのアリなんだみたいな(笑)。周波数レンジもDubstepの帯域より、信じられないくらい遥かにDEEPに行ってるこのRemixを機にGOTH-TRADの音楽は更に深化していったと思います。実際、今回のAlbum "PSIONICS"の制作に、最近のRemix Worksの影響は大きかったんじゃないでしょうか?

 

次回Interviewは待望のNew Album "PSIONICS"の真相について、斬り込みます!


9月16日に記念すべき10周年を迎える”Back To Chill”に先駆け、GOTH-TRADニューアルバム”PSIONICS”の限定パッケージを先行発売中!!!限定パッケージには、Borisとの共作”DEADSONG (PSIONICS version)”と、Dälekをフィーチャーした”Skin No Longer Scar”を収録したWax Alchemy製 12インチvinylダブプレート、そしてUsugrow氏がデザインした限定Tシャツ!!!さらにアルバム音源のWavファイルは、GOTH-TRAD Logo入りの8GB USBスティックに収録!!!このエクスクルーシブの2曲と、限定Tシャツ、ロゴ入りUSBスティックは、今後再販する予定はありません!CPFのパッケージ限定です。お見逃し無く!!!